学童保育の現状を憂う ~ 学校と親の間の成長空白領域を埋めてくれる大事な場所
下の子二人の小学生がお世話になっている関係で、ぼくの家の近くの学童保育所のウェブサイトを、夏の初めから運営しています。
ぼくの前の人は十年以上やったそうで、もうご自分のお子さんはとっくに学童を卒所しているのですが、そのまま続けて下さっていました。
さすがにそろそろ、現役の親がやらないとまずいでしょう、ということで、お引き受けすることになりました。下の子はまだ四年は通うことになりますし。これも大きな意味で地域貢献かなぁ、と。
それで、デザインを一新して、CSSを書き起こして、かなり、アットホームな雰囲気のあるサイトに仕上げたのですが、どんなサイトでもそうであるように、暗黙のうちにターゲットがあります。
この地域で、放課後待機児童を持ってらっしゃる、働くお父さん、お母さんたちです。
うちの学童保育所は二十年来の経験を持った、ベテラン指導員が三人で、子どもたちの世話をしてくれています。ところが、収入が安定しているとは言い難いんですよね。
なのでWebサイトも、入所予備軍の子どもたちや親たちに魅力を伝えるように作りました。
これはあくまで、札幌市の現状、ということで、ぼくがこの学童保育所のサイト立ち上げを通じて感じた、現在の学童保育のあり方や問題点について、少し触れたいと思います。
| 魅力:異学年との交流 |
学童保育所は小学校1年生から6年生まで、放課後から、働いている親たちが帰ってくる時間までを一つの建物で一緒に過ごします。
そこには学年の壁はありません。2年生と5年生が数人で一緒に遊んだり、時には喧嘩が起こって、それを上級生が仲裁したりすることもあります。
小学校では、こういうことはほとんどありませんし、家庭でも、今は子供の数が少ないので、中々異年齢が集団で過ごすという環境がないのです。
ぼくが子どもの頃は、放課後、他の学年の子たちと混ざり合って遊ぶということはよくあったのですが、今は、校外での遊びはほとんど同学年、それも同クラスに限られているようです。
学童保育所での、こういう異年齢の集団生活というのは、ぼくから見ると、非常にメリットが大きいと思っています。
上級生は、年下の子の面倒を見ようという意識が生まれやすく、それが、その子の責任感やリーダーシップや調整力といった様々な社会性の萌芽になります。
低学年の子は、他の環境にいるより早く、人間関係の作り方、あるいは壊れた時の直し方を身につけていきます。また、上記のような上級生の振る舞いを見て、年上の子は集団の仲でどうあるべきなのかを肌で実感していきます。
もちろん、こういう風な流れを作るのも、励ましたり、叱ったり、一緒になって遊び転げたり、という指導員さんの巧みな指導があるからなのですが。
指導員さんから聞いた言葉で気に入っているのを一つ。「ここに来ると、昼間の兄弟ができる」
これは本当にそうみたいで、小学校卒業とともに卒所となるのですが、その後も、子どもたちは、交流を続けながら大人になり、最初の卒所児童はもういいオジサンになって全国に散っているのに、それでも東京でOB会を開いて飲んだり、学童時代を思い出して、富士山登山を決行したりしているそうです。
| 魅力:ここでしか教えられないこと |
親が子どもに教えることはたくさんありますよね。
してはいけないこと。生活の中で必要なこと。勉強。。。。どうしても後回しになっていしまうことが色々と出てきます。
たとえば誰でも子どもの頃は、小さな山を登るくらいは何度も経験があると思います。いまは、そういう機会がほとんどありません。親が登山に連れて行くにも、なかなか大変です。
釣りも、釣り好きなお父さんの子どもなら連れて行ってもらえますが、釣りに全く興味のない親の子どもは釣りを憶える機会がありません。
ぼくの近所の、その学童保育所では、年に数回、それも1000m級の山に子どもたちを連れて登ってきます。
釣りも何回も連れて行ってくれます。
さらにコマ回し、将棋、けん玉など、昔あそびも一通りてほどきしてくれます。
希望する子には、料理も教えます。ダシの取り方からきちんと憶えさせて、卵料理、炒め物、チャーハン、餃子など、そのまま日常の食卓で通用するような料理をマン・ツー・マンで教えてくれます。
こういったことは、多くの親が共働きで子どもに割く時間が中々取れない現状では、社会的に大きな役割を担っていると感じています。現代の教育と子育ての間に出来てしまう、空白地帯を埋めてくれているのです。
また、学童保育所から積極的に地域と関わりを持つ機会を作っているために、地域の住民が子どもたちの顔を知っていて、道路を歩いていても、見守ってくれています。「うちの町の子」という視線の中で暮らすことは、昨今の子どもを取り巻く犯罪が後を絶たない現状では、大きな保護力になっています。
| 問題:学童保育所の運営の難しさ |
札幌市の場合、市内の学童保育所には、入所する児童一人につきいくら、という助成金が出ます。
ところがどうしてなのか、それは3年生までなのです。4~6年生については助成金が出ていません。
したがって、学童保育所の経費は、まず、この、所属する1~3年生の数によって決まります。これは毎年変動します。1年生が10人入ってくる年もあれば、3人しか入って来ない年もあるのです。
このほかに、子どもを入所させるのに払う月謝があります。
学童保育所の原資は、この市からの助成金(1~3年生だけ)と、通所する児童の月謝から賄われています。
指導員さんの給料も、この中から支払っています。
ぶっちゃけ言ってしまうと、ちょっとこれでは仕事としてはやっていけない額です。事実、いま指導してくれている三人とも、子どもたちが学童保育所にやってくる時間までは、別のパートの仕事をしています。
助成金が毎年大きく変動するために、固定給を約束できないところも苦しいし、ボーナスがほとんど出ないのも苦しいです。
かといって、指導員の数を減らすのは無理です。1~6年生まで約50人が、同じ時間帯でいくつもの別々のアクティビティをするために、やはり3人は必要ですし、誰でも務まるというものでもありません。今の指導員さんの豊富な経験を考えると、他の人材なんてとても見つかるとは思えません。
それで、父母会では、バザーをやったり、祭りを開いたり、親子キャンプをやって飲食類費をつぎ込んだりして、学童保育所の副収入にしています。このこと自体は、親も子どもの育成に積極的に関わる良い機会なのですが、資金面から言うと、こうしなければ維持できない仕組みというのは、やはり問題だと考えています。
さらに通所児童が増えれば、それだけ資金も安定しますから、その一環として、ぼくもささやかながらWebサイトを作って人集めを狙ったりしているわけです。
親たちがどんどん忙しくなり、学校は学校の役割を果たすことを最優先にする中で、現在の子どもの育成には明らかに真空地帯があります。ここを学童保育がカバーしている以上、いまの、社会制度上、オマケ的な扱いは大きく見直して欲しいところです。
なお、この学童保育所のサイトはこちらです。お近くの方は是非、覗いてみて下さいね。


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