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小説「ロスタイム」(3)

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 おれの背筋は凍りついた。誰だ、一体?、なぜおれの電話番号を知ってる?どこからおれを狙ってるんだ?
 自分の声が震える。
「どうしておれを狙うんだ?」
「別に誰でも良かったんだがね。わたしもレジウスの24番岡島のファンなんだよ。また、わたしが今、構えているこのライフルはM24と呼ばれているんだ。奇妙な符号だろう。
 前節の試合で24番のレプリカを着た君を見つけて興味を持ったんだ。色々調べさせてもらったよ」
 場内アナウンスが選手たちの入場を知らせた。
 レジウスの選手が列を作ってピッチに入って来た。サポーターたちが一斉に歓声をあげる。
 おれは電話の相手に言った。
「何が目的なんだ?金が欲しいのか?」
 男は乾いた笑い声をあげた。
「別に君に何かを要求するつもりはないよ、24番」
「じゃあ何のために」
「気晴らし、そう言えば分かってもらえるかな。わたしは人の恐怖に怯えた顔を見るのが好きでね」
 こいつは変質者だ。おれは思った。
「おれを本気で殺そうとは思ってないだろう」
「さあね。わたしの毎日は退屈の連続だった。刺激が欲しいんだよ」
「やめてくれ。頼む」おれは必死になり始めていた。
「そうそう、その調子だ。わたしをもっと楽しませてくれ」男はどこか楽しそうだった。
「助けてくれ。何でもする」
「そうだな。ただ殺しては味気無い。わたしから提案だが、ひとつ賭けをしないか」
「賭け?どんな賭けだ?」
「そう…どうだろう、この試合、レジウスが負けたら命をもらう。勝つか引き分ければきみをそのまま帰す、というのはどうかね。
 きみは試合終了までは無事というわけだ」
冷汗が出てきた。今季、レジウスはデュランに一勝もしていない。
「きみが考えていることは分かるよ。24番。
 レジウスはデュランに勝っていないからね。
 だが、きみだってレジウスのサポーターだ。きょうも勝つと信じてスタジアムに来たはずだ。違うかね?」
「それはそうだ、しかし」
「ほら、試合が始まる。まずはゲームを楽しもうじゃないか。また電話するよ」
「待ってくれ!」
 しかし電話は切れた。
 冗談じゃない。この試合の結果次第で、おれは死ぬかもしれないのか。
 警察だ。警察に通報しよう。おれは110番をダイヤルした。
 次の瞬間、左の耳に激痛が走った。
「あ痛っ!」耳を押さえると血が出ていた。耳たぶの端がわずかに切れている。
 電話が振動した。応答すると男の声がした。
「言い忘れたが、どこにも電話をかけてはならない。動いてもいけない。他の客に助けを求めてもいけない。違反したらお遊びは終わりだ。今のは威嚇だが、今度は心臓に穴が開くぞ」
 また電話は切れた。
 恐怖がヒタヒタとおれの胸に押し寄せて来た。どう考えても男は向かい側のスタンドか、人に見えない場所から狙っている。その距離は300メートル以上あるだろう。そこから、正確に耳の縁をかすめる銃撃をした。恐ろしいほどの精度だ。
 試合が始まり、ピッチ上の選手たちが一斉に動き始めた。顔にペインティングした隣の若者をはじめ、サポーターたちは選手をもり立てようと、歌を歌っている。一体になって応援するサポーターたちの中にあって、おれは一人孤独なのだ

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コメント

はい、こういうの好きですよ~~~!!!
ハラハラしますね~~~。

投稿: かずな | 2007.12.21 20:03

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