連載:自宅学習指導のすすめ(3)
連載:自宅学習指導のすすめ(3)
■失敗事例(1)
一昨日の夜、こんな問題に当たりました。
「姉弟が自転車で競争しました。姉の速さは分速は 30 [m/分]で弟より 5 [分]早く出発しました。弟の速さは分速45 [m/分]です。弟は何分後に姉に追いつきますか?」
ぼくは普段の直感で、まず姉弟の相対速度(接近するスピード)45-30=15 [m/分]を計算し、弟が出発した時点での姉との距離30×5=150 [m]が、この相対速度で縮まっていくと考えました。したがって、
150 ÷ 15 = 10 [分] ……(1)
ぼくのようなエンジニアは、みんな、式(1)のように考えると思います。
ところが、これが中学校1年生には難しいようで、この速度の差(=相対速度)という考え方がどうしても理解できず、結局、一昨日は、夜中までかかってもわからなくて泣く娘に、「これは○○(娘の名)が悪いんじゃないんだよ。教え方が下手なお父さんが悪いんだ。一晩考えて、明日もう一度説明してみるね。ごめんね」と言って、やめました。
ぼくの説明の何が悪いのかを考えてみました。少なくとも、現場のエンジニアや研究者の感覚ではダメだということはわかりました。仕事の感覚で行くと、最短コースである式(1)を使うのが普通なのですが、これは実用的ではあっても教育的な考えでは無いわけです。
速度という概念に、まだ出会ったばかりの中一の子には、速度だけでもあいまいなのに、それを足したり引いたりする、なんてのは、とうてい理解できないんですね。別なものを使って方程式をたてないといけない。色々考えました。行き着いた先は、次のような考え方です。
弟が姉に追いつくまでの時間をx[分]とし、姉の、「弟が出発する以前にすでに歩いていた距離」は分速30[m/分]×5[分] = 150[m]。さらに、「弟が出発して追いつかれるまでに歩く距離」が分速30[m]×x[分]=30x [m]。したがって、弟に追いつかれるまで姉が歩いたトータルの距離は、両者を合わせて、
150 + 30x [m] ……(2)
一方、弟が姉に追いつくまでの距離は、分速 45 [m/分] × x [分]、つまり、
45x [m] ……(3)
弟が姉に追いついたのだから式(2)と式(3)は等しいはず。したがって、
150 + 30x = 45x
15x = 150
x = 10 [分]
と答えを出すわけです。昨日、再び娘に、以上のような説明をしたら、一昨日は3時間かかっても理解できなかったのに、これは20分でわかってくれました。
説明の仕方ひとつで、こうも違うのか、と改めて、教えることの難しさを知りました。しかし、いずれにしても、ここまで面倒を見るのは学習塾では到底無理でしょう。自宅指導だからこそ、できるプロセスですね。
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コメント
こんばんは
同じ問題をうちの子どもたちに解かせてみました(小4&2)
上の子は進学塾、下の子は文章題をじっくり自分なりに解けるのをヒントをもらいながら考えていく塾に通塾中です。
2人とも以下のような説明をして解きました(別々に、解き方を聞きましたし、下の子はまぁ、時間はかかりましたが。)
2人の間には弟が出発する前に150mの差がある。
弟の方が分速15m早い=1分間に15mづつ差が縮まっていく
だから150÷15=10で10分後
最初にYasushiさんが解いた通りです。小学生は方程式は使いませんからこの方法が通常の解き方ですね。
上の子も3年までは下の子と同じ塾に通っていたので、まず線分図を書いていました。
お嬢さんの場合、この問題の光景が思い浮かばなかったのではないでしょうか?
たとえば、階段で2人のうち1人が10段先にいて、1人はせーの、で1段、もう1人は2段上ったらどうなるか?そういったイメージが描ければ解けるのではないかな、そう思いました。
投稿: とまと | 2006.12.14 19:19
あらまあ、お子さんで試されたんですか(笑)。ありがとうございます。
相対速度の概念を脳の中に自然に置くことができるってすごいことですよ!将来有望です。
今教えているのは中一の長女なのですが、響かぬ鐘とでもいいますか、力一杯突いてようやく音が出るという感じです。つまりにぶいです(苦笑)。わかってもらおうと、マンガもたくさん書きましたし、パントマイムも散々やりました。でも、娘の中にイメージは湧かなかったみたいです。
投稿: Yasushi→とまとさん | 2006.12.15 11:38