楽に仕事をしたい!
仕事というものは基本的に辛い。
仕事に生き甲斐を見つけて楽しみながら働いている人たちもいるけれど、楽しめない人の方が多い。そして、病気のために休職や退職をし、いま復職しようとしたり新しい仕事を探している人がたくさんいる。ブログを続ける中で、そのような人たちにたくさん出会った。
自分が復職したときのことを思い出してみた。
ぼくは慢性B型肝炎のためのインターフェロンの副作用で鬱になったので、落ちるのがすごく速かった。
前の週まで、普通に笑ったり、人と接したりできていたのが、わずか数日間で急降下して心がおかしくなった。
何もしていないのに頭の中が辛くて仕方なくなり、職場ではその頃、個室だったのだけど、誰にも会いたくなくなり、かかってきた電話を取るとき手が震えるようになってしまった。
その3,4日後には、昼食で外出た後、ついに職場に戻れなくなり、自分がおかしいことに気がついた。デパートの駐車場で家に電話をした。症状や、いま自分が考えていること、職場に行きたくないことを伝え、
「これって鬱病というやつじゃないかと思うんだけど……」と言ったら、女房が、
「何とも言えないけど、取りあえず帰れば? ただし他の人に迷惑かけるから、ちゃんとひと声かけてからだよ」と言った。
次の日、病院に行き、いつもの肝臓担当内科の先生に見てもらった。先生は神経科へ紹介してくれた。
職場は休職して、内科での肝臓の治療の他に、神経科で鬱病の治療を始めた。
この最初の先生というのがウマが合わず苦しんだ。教授なんだけど、たぶん鬱が専門じゃないと思う。
ぼくは激鬱の急性期ですごい苦痛だし、その原因が、職場環境や人間関係から来るストレスなんかと違って、インターフェロンの副作用だから、職場に環境を変えてもらうとか、部署を変えてもらって人間関係を変えるというように、原因を除去することが出来ない。
だからひたすら薬が頼りなのに、「躁転がこわいから」と言って弱い抗鬱薬を、しかも少量しか出してくれない。
さらに、こっちにお構いなしに、病気が今どの段階かということを決めつけちゃう先生だった。
「あなたはもう回復段階に入っています。抗不安薬の錠数を減らしましょう」という感じだ。早いって、早すぎ!
( ̄△ ̄#) ウラー
そして、ぼくは二ヶ月後に職場に戻った。どう考えても早すぎたと思う。行きたくなくて、行きたくなくて仕方がなかった。
あの時は、必死で鬱の辛さに耐えながら、仕事に戻った。でもまだ仕事なんか出来る状態じゃなかった。
苦しくて、苦しくて、必死でどうしたら、自分にとって職場を居心地良くできるか、を色々考えた。
◎出来ないことは出来ない!
出来ないことは出来ない――これは真理だよね。
出来ないことにチャレンジするのは良いことだけど、それは健康になってからの話だと思う。
健康であっても「出来ないこと」なんだから、鬱のときは無理に決まってる。
やるか、やらないか、を自分で決められる業務だったら、やらないことにしよう。
上司から回されてきた業務だったら、自分の状態を説明し断ろう。これは勇気がいるかも知れない。でも自分を守るためだから、決死の覚悟で断ろう。
目標を小分けすることは、鬱の人にはとても効果がある。
ぼくは電子手帳に予定やToDo(しなければいけないこと)を書き込んでいる。
元気だった頃は、ToDoに「実験装置製作~〆切○月○日まで」とか「○○誌への投稿論文執筆~〆切○月○日まで」というように目標を最終ゴールに置き、〆切もずっと先に設定していた。
復職後、最初は、その癖が抜けずに、同じような業務目標を自分に課していたのだけど、その目標を見ては、目標の大きさに絶望を感じて、結局、一日何も出来ずに終わることが多かった。そして、きょう何もしなかったことに罪悪感を感じ、自分を責めた。自分をけなしてはいけない。
なぜ絶望してしまうのか考えた。それは、達成感を味わえないからだ。その目標設定だと、すべてが完成するずっと先の日にならなければ達成感を得られない。たしかにその達成感は非常に大きく、自分のセルフエスティームを大きく育ててくれるだろう。
問題は、その日が来るまで、心理的報酬がないまま、ひたすら頑張り続けなくてはならないという事だ。
健康でタフな人なら、頑張り続けてゴールにたどり着けるだろう。
だけど、鬱の人にそれは無理。目の前にニンジンをぶら下げた馬のように、すぐ近くにエサがないと走られないんだ。
ぼくは、目標を千切りのように極端に細かく分けた。「装置の主要フレーム4本をネジ止め~午前中」とか「論文5行だけ書く~きょう帰るまで」という具合だ。
一見、馬鹿げて見える。でもこれは効果があった。ひとつひとつの目標は非常に単純で、すぐに手が届く。そして小さいけれど毎日達成感が得られる。この達成感がセルフエスティームを少しだけだが、膨らませてくれる。この「毎日セルフエスティームが成長する」ということが大事なんだと思う。観葉植物のように、毎日、必ず水をあけなきゃいけないんだ。
◎どうしてもダメなときは、ダメ元でちょっとだけ手を付けてみる
鬱の人はみんな波がある。日単位で調子が良い・悪いがあるし、一日の中だって良い・悪いがある。
これはどうしようもない。調子が悪いときは、すべて放り投げて帰りたくなる。
だけど、これはあまり良いことではない。帰ってから「きょうは何もしなかった」と思い、上に書いたように罪悪感が生じるから。
だから、めっちゃダメダメな日でも、帰る前に、ダメ元で10分でも15分でも良いから、仕事に手を付けてみよう。
これは仕事としてはペケかもしれない。でも、「ちょっぴりだけど、きょうは仕事をした」という事実が残る。帰宅してから後味の悪さを感じなくて済む。
◎今のことしか頭に置かない~ホモサピエンスをやめて猿になる(笑)
人間は、唯一思い出を持てる動物で、同時に、唯一先のことを考えられる動物。進化の末に獲得できた大変な能力だ。
でもこれって、鬱に限って言えば、良くないことなんだよね。
思い出は、連鎖的に考えがマイナーな方向に行ってしまい、後悔に変わる。「あの時、ああするんじゃなかった……」etc...
それから、先のことを考えると、やはりマイナーな方向に行って、心配に変わる。「ああ、自分はうまく行くだろうか??」etc...
だからこのような、アナタが人類だという特徴を捨てて、猿になりましょう。(笑)
古いことは考えない。何も思い出さない。
先読みもしない。何も予想しない。
とりあえず、たった今できることだけを考えればいいんじゃない? それでなくても色々な負担を負っている心なんだから、少しでも楽にしてあげなくちゃ。
* * *
まだまだ、あの頃考えたことがあるんだけど。取りあえずこのくらいでやめておきます。
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