やったあー! 駒大苫小牧高校、甲子園で優勝しちゃったよ。北海道勢初の大快挙だ~。
ぼくらのお爺さんやお婆さん時代からの悲願達成───ぼくも思わず涙ぐんじゃったよ。
それにしても壮絶な戦いだった。抜きつ抜かれつの打撃戦で、最後まで安心できないモノ凄い試合。
済美高校の上甲監督は試合後「完敗です」と語った。両校の死闘ぶりがこの一言に集約されている。済美は春夏連覇を狙う本命中の本命。その済美が実に19安打を放って10得点をあげているのである。やれる事はすべてやっている。普通であれば当然勝っている試合だ。
しかし、それでも負けた。当初フロックと揶揄(やゆ)されたノーマーク校、駒大苫小牧の実力は本物だった。強豪校を次々と、その破壊的ともいえる打撃力でなで斬りにし勝ち上がり、ついには決勝戦まで来てしまった。そして大舞台に臆することもなく、済美を上回る20安打13得点をあげ、力でねじ伏せたのだ。
ぼくら北海道民は、これまですべての甲子園大会で、道代表校が敗れ去る場面を見てきた。きょうも一時、3点までリードを広げられたとき、「今回も、これまでか…」と心のどこかで感じた道民は少なからずいたはずだ。しかし、駒大苫小牧メンバーの絶対にあきらめない精神的なタフネスは、ぼくらの想像を超えていた。再三の長打を連発し追いつき、ついには勝ち越した。
深紅の大優勝旗が津軽海峡を越えてやってくる。生きているうちにこんな場面を見ることができるなんて!
◇ ◇ ◇
ツキや運でつかみ取ったものではない。
その豪打ぶりは、.448という大会チーム打率(新記録。83回大会で日大三が記録した.427を大幅に更新)に現れている。甲子園には全国から屈指の速球投手が集まってくる。それに対応すべく、普通はマシンによる対速球打撃練習が主体になる。しかし、香田監督は「体の軸がブレないこと」を最も重視し、わざと遅いボールを打たせる練習を取り入れ、選手に軸を作り上げさせたという。「軸がぶれると球を引っかけてしまい、それでは強い打球は生まれない」とのこと。
さらに竹製のバットによる打撃練習も取り入れた。「真芯に当たらないと手に激痛が走る。何度打ったか分からない」との選手談。
これらが、ミートのうまく上位から下位まで切れ目なくヒットを生み出せる強力打線を生み出した。
そして豪打の陰に隠れているが、5試合を通じて失策がわずか 1 という堅い守備も見逃せない。雪国は冬にグラウンドを使えないためにハンディがあると、よく言われるが、わざとボコボコに凍結したグラウンドでノックを行った。打球は凍結面のために速く、そして荒れた地面のためにイレギュラー・バウンドになる。「あの練習に比べれば、多少のイレギュラーは問題なかった」と語った選手もいた。
投手陣も踏ん張った。新聞で取りざたされるような名投手はいない。しかし、岩田投手、鈴木投手、松橋投手と、レベルの高い選手を三枚そろえ、全試合が継投となった。それぞれが役割をきっちりと果たした。全試合を通じて各イニング1三振に相当する奪三振数をあげた。
エース岩田選手は決勝で序盤乱れ、2回途中降板となったが、ベンチに下がってきたとき、その指は血だらけだったという。後を引き継いだ鈴木投手もそれを知っていて、岩田選手のがんばりに報いるためにもロングリリーフを気迫で投げぬいた。
抜きん出た投手がいなくても、あるレベル以上の投手を複数育てる。これで甲子園を乗り切れるということを示していたと思う。
願ってかなわない夢はない。努力や訓練は決して自分を裏切らない。彼らはまだ16~18才の子供たちだ。しかしここまでの戦いを通じてぼくらに大切なことを教えてくれた、そんな気がする。
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